【活動報告】7月17日 子ども司書講座講師レポート

イベント名:一宮市立中央図書館 子ども司書講座

日時:7月17日(月)10:00ー12:00 参加者:16人 

一宮市立中央図書館で行われる「子ども司書講座」の第1回の講座を担当しました。

一宮市では、2015年から子ども司書講座を開始。「子ども司書講座は地域や学校で読書推進のリーダーとなるような児童を育成すること」を目的として、7月から12月にかけて全6回行われます。その第一回目の講座を担当しました。

小学5、6年生16人が参加しました。

始まる前からもってきた本を紹介し合う姿がある〜!最初にアイスブレイクで、お互い自己紹介したのち、講座を開始しました。

1.今回の学習の中で大事にすること

全6回の学習で大事にしたいことは、「対話」だとお伝えしました。対話を通して、「自分とは違う考え方に出会うこと」は嫌なこともある、それでも、相手の話を聴く時に新しい発見や学びがある。本を読むことは、本と自分の間、誰かとの間に「対話」が起きていること。「本の楽しさ」を伝えていく子ども司書には、「対話」する力が大事であることを伝えました。

 

 

 

2.図書館ツアー!

図書館ツアーの目的は、〝図書館の見えている部分・見えていない部分を知る〟こと。

見えていなかった部分に「驚いたこと、疑問に思ったことはどんどん付箋に書いていこう!」と伝えて、ツアーに出発。

〝新聞雑誌のコーナーでは、新聞って何年間分もとっておくのはなんで??〟

〝図書館ってビデオ見られるの・・?知らなかった・・〟

〝図書館から他の図書館、学校にも運んでるの・・?〟

〝100年前の教科書、古い写真もあるんだ!〟

〝屋上の閉架書庫、すごい・・!〟

気づき、驚き、疑問が生まれた様子が見られました。

屋上の自動閉架書庫。忙しくロボットが動いて、本を取り出し、運んでいる風景には胸がワクワク。

3.疑問とびっくりを共有

ツアーから戻り、模造紙に予め書いておいた館内マップに、この部分で「こんな風に思ったよ!」と、受講するメンバーにわかるように、付箋に貼っていく。

「予約本のコーナーってどこだったっけ・・??」

「新聞のコーナーってどこだったっけ??」

3階分のフロアマップのどこに付箋を貼ったらいいかわからなくなった子どもたち。サポートに入ってくださっていた子ども司書OBの高校生・大学生たちが、「これはここだよ」とすかさずサポートしてくれます。図書館についての学びの場で、学びの循環が起きていることに感激しました。そして、子どもたちの気づきの付箋は思いのほか多く、すべてを取り上げられなかったことが残念でしたが、好奇心のアンテナを張り、たくさんのことを感じたり、考えたんだなぁーーーと思いました。

 

 

4.教えて司書さん!

山本が、付箋を一枚ずつ読み上げました。「ここは司書さんに答えてもらう場面!」だと思って、司書さんにバシバシ質問を投げかけました。

「どんどん本を買っているということは、書庫に入らなくなったらどうするんですか??」という付箋には、司書さんが、「入らなくなったら、本を減らす、除籍といって、リサイクル本に出して市民に譲ったりするんだよ」と、答えます。

山本:「そうすると、残す本、除籍する本、開架に出すか閉架に出すのはどうやって決めるんですか??」

司書さん:「難しいけど、この本はどうするべきかを、司書が考えているんです・・」

こんなやり取りで深めていきました。

 

 

「屋上の閉架自動書庫の機械が動かなくなったらどうするんですか?」

「どうして新聞が何年分もとってあるんですか?」

「100年前の本をどうやって手にいれるんですか?」

質問が鋭くて、本質をつくような質問がたくさん出されました。

 

5.まとめ 図書館は何のためにあるのか?

図書館には、開架にない本、たくさんの本、昔の本、本だけでなく、新聞や写真や昔の教科書もあります。「図書館は何のためにあるのか?」子どもたち自身の目線に立って、理解できる本を紹介しました。環境学習ではよく取り扱われる本、「地球の秘密」(著者:坪田愛華 出版社:出版文化社を紹介しました。

1991年に、小学校6年生だった坪田愛華さんは、国語の授業の宿題で、得意の漫画を描くことにしました。図書館で調べ、環境問題を伝える漫画を自作します。しかし、完成した直後に、急死します。

 

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愛華さんの本は世界中で翻訳され、図書館にも入っています。こうして、人が亡くなってしまっても、その人の願いや思い、知識は、「本」に載って、形になる。そして、それらは、図書館に収められ、図書館で人々が手に取れるような様々な準備をする。手に取るまでの準備の過程は多くの人には見えません。過去に生きた多くの人、今生きている人、未来の人のために、図書館があると伝えました。

また、子ども司書の役割には、「友達と本を薦め合うこと」があります。図書館だけが活躍の場ではなく、普段の生活や学校にも活躍の場。「この本、面白いよ」と誰かに伝えることで、どこでも「子ども司書」になれることを伝えました。

 

参考:子ども司書のすすめ JLA図書館実践シリーズ44 著者:アンドリュー・デュアー

   出版社:日本図書館協会 

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