活動報告:1月15日 本のある場でまちを育む

 

 

2018年に亡くなられたまち育ての実践者・研究者の延藤安弘先生が遺された研究資料5万冊、絵本5000冊が保存されているのが延藤文庫です。延藤先生の存在そのもののような延藤文庫含む、地域の本のある場の存在意義を様々なな立場の人と話してみたい。そう思って、始まりのトークセッションを企画しました。後日、対話の記録を作成しますので、当日の様子だけお伝えします!(文責:山本)

 

延藤文庫との出会い・・・名畑さんと出会ったのは2年前。

その時は、延藤文庫に深く関わるということにはなりませんでしたが、半年前にブッカーの貼り方をご相談いただいたのをきっかけに、お手伝いを考えることになりました。お手伝いを考えていると、延藤文庫がどんなもので、どんな状況や想いがあるのかを知っていくことになって、そうなると改めて、延藤文庫の意義や価値を対話の場があるといいよねーーとなり、対話の場を開くことになりました。本当に素晴らしい場となりました。
ゲスト・集まった人たちと対話が生成されていく愉しさ、躍動を感じました。

今日のテーマ:「本のある場」は素敵・・それってなんで??

どうしてそこにあるのは本であるといいのか??そこから、お話しを始めたいという課題設定から始まりました。地域にあるマイクロライブラリー、制度的な図書館、お家の本棚。全部「本のある場」本+人+場 そうした場所の重要性を多くの人は感じているし、まちの中にある本がある空間は、素敵なものとして受け止めています。その意味を深く考える時、どんな場をつくっていけるといいかが見えてくるのではないでしょうか。

 

切り口として・・本・本のある場・図書館は人の生きること・創造にどう関わるか??

山本からは、「はちうえはぼくにまかせて」(作:ジーン・ジオン 絵:マーガレット・ブロイ・グレアム 出版社:ペンギン社)という絵本を紹介しました。主人公トミーが大好きな植物を育てること、試行錯誤の中でトミーは壁にぶつかった時に、図書館に行って本で調べます。解決策を発見したトミーは問題に挑んでいきます。好きなこと、やってみたいこと、失敗すること、困ったこと、喜び、それらのプロセスの中には、本と他者とまちの人たちが関わっています。それらを生み出す場が「図書館」でした。人の学び、創造と「図書館」が関わっていることをお伝えしました。

 

延藤文庫とは?
名畑恵さん(延藤文庫事務局・NPO法人まちの縁側育くみ隊代表理事 錦2丁目エリアマネジメント株式会社代表)に延藤先生が取り組んできたこと、延藤文庫についてご紹介いただきました。延藤文庫、研究資料5万冊+絵本5000冊の内容、書斎空間の3D画像を見て、書斎内を探検。延藤先生が本とどのように関わっておられたか、本をどのような存在として考え、渡していたのかについてお話ししてもらいました。延藤先生は、まち育てに取り組む始まりは、「物語」を分かち合うことと考えていました。物語(絵本)に触れることが、人が持っている願いに触れ、すでにそこにある価値に気づき、根源的な経験に想いを馳せる機会をもたらすと考え、いつもワークショップや講演は、絵本の読み聞かせから始まったそうです。そして、2016年には、「コミュニティ図書館構想」というものを考えておられたそうです。延藤先生と構想について話してみたかった・・!!

 

その後のトークセッションの始まりとして、豊田 高広さんに、お話ししていただきました。
「としょかんライオン」(作:ミシェル・ヌードセン 絵:ケビン・ホークス 訳:福本友美子 出版社:岩崎書店)の読み聞かせから始まりました。

 



延藤先生の著書「こんなまちに住みたいナ:絵本が育む暮らし・まちづくりの発想」(著者:延藤安弘 出版社:晶文社でもこの絵本は紹介されています。「ユーモアを伴いながら、自らきまりの逸脱をしていることにあらわれています。」自らの決まりを逸脱していく・・越境して対話していくことで変化していく、そこにはユーモアが必要。延藤文庫も、誰に、どんな本をどのように共有、利用してもらうか・・集まる人が一緒に考えてもいいのでは。
図書館とまちの人、公共を考えるための、投げかけをしていただきました。

そして、その後は、トークセッション。
・・の前の休憩時間、みなさん愉しそうに話していて、トークセッションが始められない(笑)すごい熱量だなと思いました!

三矢 勝司さん(延藤文庫運営委員・NPO岡崎まち育てセンター・りた理事兼事業推進マネージャー。名古屋工業大学コミュニティ創成教育研究センター研究員も交え、4人でお話ししました。

 

 

一人の人が、物語、絵本に出会い人育てや街育て関わったシーンや延藤先生のお話しの中で思い出されることからお話ししてもらいました。

そして、人とまちと図書館はどう関わるか。図書館の見えている部分、見えていない部分。見えていない部分はシステム、生態系であること。その生態系をみんな(まち)で森を育てるようにつくっていくこともできること。「本」だけではない。道に転がっている石ころも、意図をもって集め、それらにアクセスしたい人がいれば、アーカイブの対象になります。(これが図書館の見えていない部分)

 

 

山本の当日のスライドより添付



延藤文庫で残していくものは、「本」だけではありません。延藤先生の膨大な読書ノートもあれば、スライドもある・・そして、延藤先生と名畑さんや三矢さんがつくってきた物語がある。それらをどう捉え、どう分類していくか・・5万冊+5000冊は想いも物理的にも重い・・・と、名畑さんは仰っていましたが、ほんとにそう・・知の生態系づくりに、市民が参画していくことはクリエイティブで楽しいことでもある。重さ、発生する一つ一つの作業(ブッカーを貼るとか)を分け合っていくことで知の森を耕すコミュニティができるのでは。

人→本→場→街・地域社会 というスケールの中で、本と本がある場と経験や実践、生きていくフィールドはどう関わり合っているかについてお話ししました。
そして、最後は、延藤先生がいつも最後は、「問い」で講演を終えられていたというお話を聞いて、ゲストから問いを参加者のみなさんに出しました。終わったあとも、みなさんの中でこの問いを受け、物語がつくられていくといいなと思います。

 

▶︎三矢さん「延藤libraryがまちそだちとして使える場所となるにはどうしたらよいでしょうか 世界で1番、まちそだてを知れる場所になるには」

▶︎名畑さん「 世界一まちそだてを知ることができる場所としての延藤libraryは、果たして錦2丁目でよいのだろうか 延藤先生はぜひ錦2丁目で実現したい!と挑戦的な問いを受け取ったけど、延藤先生が言っていた「都市を諦めたらあかんで」経済合理主義で差し迫った状況で、果たして延藤libraryはできるのか」

▶︎山本:わくわく妄想するための一歩を踏み出すとしたら、どんなことをしていったらよいか

▶︎豊田さん:あなたのまちの図書館とこれからどのようにかかわっていこうと思いますか



リアルなイベントって、準備も含めて楽しいプロセスだったなーーーー!!と、こういうの愉しいことだったよなとかなり久々に思い出した。資料印刷して資料組むのも久しぶり・・
始まる前のドキドキする時間帯、参加者のみなさん同士久しぶりに会った方同士がお話している様子が見られる。リアルな場は、参加者も始まる前から場の形成に関わっていると思いました!

グラフィッカーの
小田 早樹子 さん、記録、運営サポートスタッフのみなさん、ゲストのみなさん、参加者のみなさん、共に対話の場をつくることができました。ありがとうございました!