デザインを分かち合う 参加型ロゴづくり

こんにちは、東海ナレッジネット事務局の山本です。

東海ナレッジネットのロゴが完成しました。ロゴ作成のプロセスは、とても面白く意義のあるものだったので、記しておきたいと思います。

 

1.東海ナレッジネットのロゴ

東海ナレッジネットは「編む」存在である。

メインであり周縁である。内と外がある。

一つにならない。

そうした思いが込められています。

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2.ロゴをどんな風につくるかと考える。

昨年、2020年の秋、「ロゴがあるといいなぁ」と思っていた。

デザイナーにお願いしてつくってもらうようなお金もない。
デザインができる人はメンバ−にはいない。
ロゴ=デザインは、大切なものだ。何か適当にいい感じのものをつくればいいとも思えなかった。ロゴをつくるプロセス自体を目的、学習、コミュニケーションの機会にできないか、参加型でロゴをつくれないかと思いついた。
 
友人で、デザイナーであり、一緒に面白いことができそうだと思っていた、松永結実さんに相談してみる。↓松永さんのサイト

s-lounge.jp

 
 「参加型ロゴづくり」というアイディアを松永さんと温めた。
松永さんは伴走者として支援し、団体のメンバーでつくることにした。

活用するツール:canva

ロゴをつくるといっても、イラストレーターやフォトショップなどのソフトを持っていないし、使えない。松永さんに、gmailアカウントで、デザインを共有しながら複数人での編集が可能というツール「canva」を使うことで実現できると教えてもらう。
canvaは、デザインを専門に学んでいない人でも扱いやすく、テンプレート、図案が豊富にある。パワーポイントを使う感覚で使えるツールだなぁと思った。
 共同編集できるデザインツール canva

https://www.canva.com

3.ロゴ作成のプロセス

3−1ロゴとは何か
2020年9月頃に最初のミーティングを行う。
まず、松永さんに「ロゴ」とは何かということを教えてもらった。
普段何気なく見ているロゴには意図が込められている。
大企業のロゴは、シンプルな図案であることが多い。
これは安定感を表すということらしい。
 
オンラインで、メンバーとロゴを見ながらあーだこーだと話をした。
確かに、某大手企業のロゴを画像検索で見ていると、「ちゃんと」して見える!!
一方NPOのロゴは、とにかくカラフル!様々な人の共感を集め、メッセージを伝えるという「意志」があるからではないだろうか。
では、私たちは、どんな「意志」をロゴに現すのだろうか。
ロゴをたくさん見るのに使ったサイトはこちら。
3-2 好きなロゴ、嫌いなロゴを集めてみる。
街の中、広告で目にするロゴを採集し、東海ナレッジネットのロゴのイメージをつくっていく。ここではまだ何も図案らしきものはない。12月から3月くらいまでの間に、方向性を考える話し合いの場をもつ。
 ロゴをつくろうと思った時、専門でない人は、最初から図案をつくってしまうのではないだろうか。図案になる前のコンセプトづくりにすごく時間をかけるということが新鮮だった。
3-3.コンセプトを出していく
ロゴの図案を考えるところは、私がやることになる。
昔から絵を描いたりしていたのもあり、表現することへの抵抗感もないということで・・。
折り紙を適当に切って配置するものをたくさんつくってみた。
そして、それをメンバーと話し合いの場に出す。
その中から、「切り抜いたものと、切り抜かれたもの」
「メイン・周縁」という言葉が面白いという言葉が出てきた。
1月13日ロゴミーティングに出した資料と出てきたキーワード

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3-4.デザインの種を探す

「図案化する作業ってどうやってやるのかなぁ?」と松永さんに聞いたら、
「図書館をぶらぶらするといいよ」と言われる。
え!図書館!!
図書館はこのように活用されるのかと感動しながら、概念や図案の種を探していった。
しかし、そのように図書館を活用はしたことはなく、何をどう探すかわからない・・。
具体的な図案から、概念のようなものまで、デザイナーさんはここから何かを見つけ出すらしいが、デザイナー的な視点がないのか、全く見つからない・・。
「無理!限界!もう何も出ません!」と、立ち止まり、メッセージを送ると、
松永さんは、「編む」という行為から考えてみたらどうかな?と言ってくれた。
編む=編み図をモチーフ、それは面白そうだし、東海ナレッジネットにぴったりのように思う。

3-5.キーワードの発見

「編む」というキーワードの発見は、ブレイクスルーした感覚があった。
それまでは、自分は東海ナレッジネットをつくる立場にあり、「その状態を俯瞰して眺めてその姿を形にする」という視点からのロゴを考えていた。
行き詰まっていたところに、視点の変化をもたらすアイディアだった。
「俯瞰して状態を眺めている」立ち位置から、そこに参画する人の「行為」への立ち位置に視点をずらすアイディアが「編む」という言葉。
ここに参画する人が何をするのか、何をする組織なのかということが現れ、輪郭をもったように思った。
「編む」というコンセプトが見つかったことで、ロゴが可能性を広げてくれるようにも感じた。そこから、編み図をモチーフに図案をたくさん考えていった。
こちらは松永さんが参考につくってくれたロゴ。
「一つの円」の形は違うのではないか・・ということを思った。
試作をしては、オンラインで話し合いを数回設け、現在のロゴをリリースしたのは2021年4月。

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4. 参加型でロゴをつくるということの意味や可能性
デザインは、デザイナーにお願いしたら素敵なものが出てくるものと捉えてはいないだろうか。今まで、組織の中でデザインを考える時に、「私たちは、デザイナーではないから自分たちにはできない」「お任せした方がいい」と捉えていたことを思い出した。
デザインを考えることは、自分たちは誰に・何を伝えたくて、何者かを考えることでもある。それをみんなで分かち合い、デザインを自分たちのものにすることが、生まれたばかりの東海ナレッジネットには、意味があることだった。
そのようなロゴづくりを可能にしてくれたのは、伴走者であった松永さんの存在が大きいと思う。全てのプロセスデザインを助けてくれ、生み出す産婆さんのようなお手伝いをしてくださる方がいなくては、ロゴはできなかったと思う。
 
自分たちで作ったからこそ、ロゴはこの組織の変化に合わせて、また変えていけばいいと思た。今は、気軽に誰でも「デザイン」ができるツールもあるがために、「なにかいい感じのものがあればいいな」と気楽に考え、「デザイン」について深く考えることなくデザインに関わっている。「その感じがいい」ってどうして?「なんか違う」のはどうして?とという問いを挟むことなく、デザインは生産され続けている。
デザインを丁寧に考えることで得られることもあるし、このようなやり方もあるとわかったので、またみんなでデザインを考えていきたいと思う。