【活動報告】図書館×ファシリテーション 図書館でおしゃべり with ROCK司書 

日時:8月24日(水)18:00ー20:30 

昨年秋にオープンした豊橋市まちなか図書館の「ROCK司書」こと大林さんとおしゃべりする場で、東海ナレッジネットや、昨年度ファシリテーション研修で作成した「インフォツリー」についておしゃべりしました。(レポート:山本)

まずは図書館ツアー!

初めて図書館に来た方も数名いらっしゃったので、図書館内ツアーから始まりました。

 

2階のエントランス、自動返却機や利用者自身が受け取る予約棚、児童書コーナーを見て、1階の乳幼児向けコーナーから上に「大人の階段」を上がって、ティーンズコーナー。趣味や暮らしに役立つ身近な本、リベラルアーツの本棚を見て回りました。まちなか図書館の特徴の一つでもある、独自の分類と手に取る人へのメッセージになるような分類名を見ていきました。

 まちなか図書館は、学習室があるわけではなく、学習席は点在しています。点在する座席に、おしゃべりしながら勉強する学生や、タブレットをつないでいる人、トランプをする中高生もいました。おしゃべりしてもOK、飲食も2階のスペースではOK、BGMが流れている・・「静かな図書館」ではない図書館の日常が垣間見えました。

 

3階展示スペースでは、インフォツリーとコラボしたテーマ展示も開催中。

インフォツリーってなぁに?

ツアーが終わった後は2階パフォーマンススペースでトークセッションを始めました。周りには勉強する中高生の姿がありましたが、大人がわいわい議論していても、全く気にせず勉強する姿を見て、ここでは、「図書館では静かに!」という当たり前がないことに気づきました。

 東海ナレッジネットで、昨年度実施したファシリテーション研修の成果物として、ファシリテーションをより深く学ぶための道標として参加型で作成した「パスファインダー」についてお話ししました。パスファインダーとは図書館で利用者が何かを知る・調べる時の道標として作成、設置されているものです。「パスファインダーってこういうもの」に囚われず、学習者がどのように学んでいくのか、必要な切り口についてアイディアを出し合いました。読者、学習者の視点に立って議論して作成しました。学ぶ人には、ファシリテーション全体を示す地図が必要で、その知識は階層になっているから、「樹」にしてみよう・・そんなことを思いつき、デザイナーであるメンバーにビジュアライズをお願いして、ファシリテーションの全体像を樹で表現したものと、63冊の本と1つの動画を選定し、ブックリストを作成した過程をお話ししました。

情報の樹を意味する「インフォツリー」は、東海ナレッジネットで考えた造語です。

※東海ナレッジネットのHPからダウンロードできます。

※こちらの利用は、クリエイティブ・コモンズ(CC BY-SA 4.0)ライセンスに従い、複製・改変しての利用が可能です。

↓ダウンロードはこちらから!

インフォツリー | Live

ファシリテーションを学びたい!と思った人はまず枝や葉の部分から入り、実践を重ねる中で、幹や根の哲学や思想やあり方の部分に気づいていくプロセスから、根・枝葉にあたることを配置していきました。

インフォツリー × まちなか図書館

 まちなか図書館の特徴の一つであるオリジナルの分類と、「ファシリテーション」というテーマで知を分類したインフォツリーとは、重なる部分があることをお話しました。

 図書館の資料は、通常は、NDC(日本十進分類法)に基づいて分類されています。

 まちなか図書館は、1つの項目のまとまりを50冊ー100冊とし、そこにふさわしいカテゴリー名を考えてつけてあります。例えば、教養・リベラルアーツのゾーンは「知を育てる」という大分類、その中に、「人はなぜ学ぶのか」という小分類があります。

 

こんな興味惹かれる分類名の札が本棚には立っています。

分類名がユニークで、その先にある本を思わず手に取ってみたくなるものがあり、分類名を発見しては面白い本に出会える、知の森を探検するような感覚です。

そして、1冊の本がどこに置かれるかを示す「本の住所」となる分類番号はついていません(369.81みたいなやつですね。)まちなか図書館をテーマにするときにこの「オリジナルの分類」をどのようにつくっていったのか是非聞いてみたい!!と思っていました。

司書の大林さんに分類をつくっていく過程をお聞きしました。なんと、全体で1000の分類があるそうで、何をどう分けるか、どんな名前をつけるか・・・気が遠くなるプロセス・・

インフォツリーの枝葉の部分をどうつけるかということだけでも、あーでもないこうでもないと議論を重ねてつくりました。まちなか図書館の1000の分類は、その数百倍大変な作業であり、多くの合意形成を経てきたことを思いました。その過程はファシリテーターとしても大変興味深いです・・。

「分類」は、この広い世界に切れ目を入れていくようなこと。世界にある情報、知をどのように分類するかは、編集的な作業です。インフォツリー、まちなか図書館に共通したのは、「知を編集すること」であり、そこに関わっていたのは「ファシリテーション」。インフォツリーをつくる過程が「図書館」を体験するようなことでもあったとお伝えしました。

フリーライブラリアン × 図書館

お話の後半で、東海ナレッジネットの目指すことは?という問いをもらい、「この世界を図書館と捉え、誰もがフリーライブラリアンである」ことを拡げる、応援していきたいとお話ししました。図書館について一般的なイメージは、貸し出しをするところ、勉強するところ、読書=文学というものがあります。それはほんの一部の機能です。地域社会の過去・今・未来に必要な情報をアーカイブしていくこと、図書館と地域、図書館と人、人の中に物語をつくっていくことが社会にもたらす多くの人には目に見えていない価値だと考えています。

図書館に所属せず、その価値を伝える機会、体験する機会をつくっていくのがフリーライブラリアンだと考えていますが、まだきちんと定義されているわけではありません。

 そのため、「え?フリーライブラリアンってどんな人?何するの?」「え?そもそも、ライブラリアンって何してるんだっけ??」とイメージしにくいお話しとなりましたが、議論は盛り上がりました。「知の編集」にもフリーライブラリアンは関わっていくことでもあり、もっともっと探求してきたいと問いをもらいました。

 

 

 

図書館の知の森は何度か来るうちに見えてくることがたくさんあります。

お近くの知の森、まちなか図書館の知の森をまた探検して、遊ぶように図書館に関わるきっかけになるといいなと思います。

大林さん、参加者のみなさんありがとうございました!

東海ナレッジネットコアメンバーと記念写真。対面で集合写真ってなかなか撮れないのですよね